文部科学省
JSPS
科研費
公募研究募集

東京大学・大学院理学系研究科 飯野雄一 平成26年7月18日

線虫インスリン受容体のシナプス部位への輸送が記憶に必須である

〇大野速雄、加藤紳也、内藤泰樹、國友博文、◎富岡征大、◎飯野雄一 
(〇:筆頭著者名, ◎:代表著者名)

Science 345: 313-317, 2014

インスリンはヒトを含むさまざまな動物で食餌の情報を伝える働きをしており、インスリン受容体の活性により寿命やストレス耐性などが制御されます。線虫C. エレガンスでは、インスリン経路は食餌情報を伝えるとともに、飢餓により起こる学習にも重要な働きをしています。今回、線虫のインスリン受容体には2 種類のタイプ(DAF-2aとDAF-2c)があることをみつけました。学習にはDAF-2cの方が必要でした。DAF-2cは感覚神経のシナプス部位に局在しており、この量は飢餓により増加しました。インスリン受容体の活性を伝えるPI3キナーゼがシナプス部位で働くことによって、線虫の行動が飢餓下の行動に変化することも分かりました。DAF-2cのシナプス部位への輸送にはCASY-1という蛋白質が働いていました。哺乳類におけるCASY-1相同蛋白質はカルシンテニンとよばれ、アルツハイマー病の原因蛋白質の一つであるアミロイド前駆蛋白質の運搬に関わることがわかっています。これらの観察から、神経細胞内を受容体が移動することによって飢餓の記憶が形成される新たな機構が明らかになりました。

<クリックで拡大します>

インスリン受容体DAF-2cはカルシンテニンCASY-1により微小管に沿って動くキネシンモーターに接続されシナプス部位に運ばれる。そこで活性化されたDAF-2cはPI3キナーゼを活性化し、シナプス伝達を変化させることにより行動を変化させる。CASY-1とキネシンの結合は餌に応答したMAPキナーゼにより負に制御される。

 




連絡先
「多様性から明らかにする記憶ダイナミズムの共通原理」 研究班事務局
東京大学分子細胞生物学研究所 神経生物学研究分野
住所:〒113-0032 東京都文京区弥生1-1-1 生命科学総合研究棟3階305号室
電話:03-5841-7886
Eメール:info[at]imemory-dynamism.jp ([at]を@に置き換えてください)
PAGE TOP