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理化学研究所・脳科学総合研究センター 吉原良浩 平成26年4月9日

Olfactory projectome in the zebrafish forebrain revealed by genetic single-neuron labelling

〇◎ Miyasaka N, Arganda-Carreras I, Wakisaka N, Masuda M, Sümbül U, Seung HS, ◎ Yoshihara Y  
(〇:筆頭著者名, ◎:代表著者名)

Nature Communications 5: 3639, 2014

嗅覚系において、外界の多種多様な匂い分子の情報は、その化学構造を基にした「匂い地図」として脳の嗅球に表現されます。匂い情報はさらに高次嗅覚中枢へと伝達・処理されて、物体の認知、情動の誘起、記憶の形成や想起へと至ります。嗅覚記憶の神経回路メカニズムを理解するためには、回路の構成要素である1つひとつのニューロンが、互いにどのように接続しているかという神経配線図を解明することが必須です。特に、嗅球から高次中枢に至る2次嗅覚回路の配線図の詳細は、これまでよく分かっていませんでした。私たちは、1匹のゼブラフィッシュでたった1つの嗅球ニューロンを可視化する発生工学的手法を確立し、画像レジストレーション法を用いて、別の個体に由来する多数のニューロン画像を標準脳上に3次元再構築することに成功しました。その結果、匂いの情報は嗅球から4つの高次脳領域に伝達され、それぞれの脳領域では、匂い情報が異なる様式で表現されることが明らかになりました。嗅覚記憶のダイナミズムを理解するためには、内的・外的要因による神経回路の動態を捉える必要がありますが、本研究成果はそのための礎となる解剖学的知見を提供します。

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図1 嗅球ニューロンの3次元再構築画像

単一嗅球ニューロン標識によって得られた画像を、画像レジストレーション法を用いて標準脳座標に変換した。同じ糸球体クラスター(各パネルの模式図)に樹状突起を接続する嗅球ニューロンごとに、その形態の3次元再構築をおこなった。各画像において、異なる嗅球ニューロンは異なる色で表現されている。

 


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図2 ゼブラフィッシュ2次嗅覚回路の軸索投射マップ

嗅球ニューロンは、終脳腹側部、終脳後方部、右手綱核、後方結節(視床下部関連神経核)に軸索を投射する。これら高次嗅覚中枢は、それぞれ固有なパターンで嗅球からの投射を受ける。矢印の大きさと色は、各糸球体クラスターからの投射の頻度を示している。また、終脳後方部の中心領域は全ての糸球体クラスターから重複した投射を受け(モザイク柄)、辺縁領域は特定の糸球体クラスターから投射を受ける(青、ピンク、緑、赤)。終脳後方部の中心領域は、その特徴的な入力様式から、嗅覚記憶との関連が強く示唆される。

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